1. TOP
  2. 土地活用ナビ
  3. 土地活用
  4. 【2021年公示地価発表】全国平均で6年振り値下がりも、上昇エリアも!要因や節税対策など徹底解説!

土地活用に役立つ情報が満載!土地活用ナビ

【2021年公示地価発表】全国平均で6年振り値下がりも、上昇エリアも!要因や節税対策など徹底解説!

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2023.03.17

2021年の公示地価が発表されました。

2020年は新型コロナウイルスの影響により経済に多くの悪影響が及びました。地価にもその影響が及び、2021年公示地価は全用途平均で6年振りの低下となりましたが、一方で上昇しているエリアもあります。こうした、地価が上昇したエリアはどのような理由で上昇したのでしょうか?

2020年は新型コロナウイルスによる影響が目立ちますが、実際にはコロナ以外にもさまざまな要因があります。土地活用にあたっては、そうしたさまざまな要因を捉え、常に市場の動向を見据えることが重要です。

本記事では、2021年公示地価の内容を詳しく解説すると共に、地価が変動したエリアについてその要因の考察など解説していきます。



この記事のポイント
  • 新型コロナウイルスによるインバウンド需要低下などを受け6年振りに全用途0.5%の下落
  • 特に影響が大きい商業地、ホテルや店舗需要激減が要因
  • 一方、テレワークの活性化などを理由に上昇に転じたエリアもあるので、常に市場の動向を見据えることが重要


2021年公示地価発表!



2021年の公示地価が発表されました。

ここでは、2021年の公示地価の内容を見ていきたいと思います。

6年振りに全国全用途平均が下落!



公示地価は毎年1月1日時点の地価を3月下旬頃に発表するという性格上、昨年までは新型コロナウイルスの影響が及んでおらず、アベノミクスや東京オリンピックを理由としたインバウンド需要などにより数年間上昇していました。

一方、今年は新型コロナウイルスによる影響が反映され、6年振りに全国全用途平均が下落する結果となっています。住宅地は5年振り、商業地は7年振りの下落。工業地については上昇となりましたが、上昇幅が縮小しています。(図1)



(図1)2019?2021年公示地価の変動率推移(用途別・全用途平均)

2019年 2020年 2021年
全用途 1.2% 1.4% ▲0.5%
住宅地 0.6% 0.8% ▲0.4%
商業地 2.8% 3.1% ▲0.8%
工業地 1.3% 1.8% 0.8%



2021年の公示地価が下落した理由は?


2021年の公示地価が下落した理由としては、新型コロナウイルスによりインバウンド需要が減少したことや、ホテルや店舗の需要が減少したことなどが挙げられるでしょう。特にこれらの影響が大きかったのが商業地で、2020年度の変動率と比べると、全国平均で3.9%もの減少です。

住宅地については、新型コロナウイルスによる影響は限定的と見られていましたが、景気の先行き不安などにより減少に転じたと見られています。

工業地についても、マイナスに転じなかったものの上昇幅は1.0%減っており、住宅地と同程度の影響が出ています。

そもそも公示地価とは?



公示地価は不動産取引の指標となるよう、国土交通省が調査・発表するもので、毎年1月1日時点の地価を3月下旬頃に公表します。1月1日時点の地価を基準に公表されるということもあり、昨年、2020年の地価はまだ新型コロナウイルスによる影響を見込んでいませんでした。


一方、2021年版の公示地価は2021年1月1日を基準とするため、初めて新型コロナウイルスの影響を織り込んだ地価が公表されたといえます。



公示地価は何のためにある?



公示地価は不動産取引の指標となるよう定められます。実際の不動産取引は不動産を売りたい人と買いたい人の希望価格が合致したところで価格が決まりますが、こうした市場原理に任せるだけでは不動産価格が乱高下する可能性があり、これが経済に悪影響を及ぼす可能性も。


公示地価はそのような事態を防ぐために、全国に設置された「標準地」を2名以上の不動産鑑定士による鑑定結果を元に土地鑑定委員会が定めることとなっています。


なお、公示地価は「公共の事業に供する土地に対する適正な補償金の額の算出等」にも利用され、公共事業に投入される税金の無駄遣いを防ぐといった側面もあります。



不動産の一物四価



不動産は一つの物件に4つの価格があるとされています。

具体的には「実勢価格」「公示地価」「相続税路線価」「固定資産税評価額」の4つです。(図2)

実勢価格とは実際に取引される価格のことで、公示地価はおおむね、この実勢価格と同程度になるよう定められます。

(図2)一物四価の概要

実勢価格 公示地価 相続税路線価 固定資産税評価額
価格 時価 実勢価格と同程度 実勢価格の80%程度 実勢価格の70%程度
調査主体 国土交通省 国税庁 市町村
適用場面 取引の指標 主に相続税や贈与税の計算 主に固定資産税や
都市計画税の計算
発表時期 毎年3月下旬 毎年7月頃 3年に1回、5?6月頃



2021年高額地点ランキングと上昇率ランキング



2021年の公示地価について、高額地点ランキングを見てみると以下のようになります。

東京都は全国の中でも下落幅の大きなエリアですが、高額地点ランキングを見てみると全て東京都になっていることが分かります。(図3)


一方、全国上昇率ランキングを見てみると以下のようになっています。(図4)

2021年は東京・大阪・名古屋の三大都市圏も全用途平均で地価が下落し、全国的にマイナスとなってしまいましたが、一方で北海道や福岡県、長野県など一部のエリアでは上昇しています。


(図3)2021年度 公示地価 全国高額地点ランキング

都道府県 基準値の所在地 2021年の公示地価 変動率
1位 東京都 中央区銀座4丁目2番4
『銀座4?5?6』
53,600,000円/? ▲7.1%
2位 東京都 中央区銀座5丁目103番16
『銀座5?4?3』
46,100,000円/? ▲7.2%
3位 東京都 中央区銀座2丁目2番19外
『銀座2?6?7』
39,900,000円/? ▲7.9%
4位 東京都 中央区銀座7丁目1番2外
『銀座7?9?19』
39,300,000円/? ▲8.0%
5位 東京都 千代田区丸の内2丁目2番1外
『丸の内2?4?1』
37,200,000円/? ▲1.1%

(図4)2021年 公示地価 全国上昇率ランキング

都道府県 基準値の所在地 2021年の公示地価 変動率
1位 北海道 虻田郡倶知安町字山田83番29 135,000円/? 25.1%
2位 北海道 北広島市共栄町1丁目10番3 36,500円/? 17.7%
3位 北海道 北広島市東共栄2丁目20番5 24,500円/? 15.6%
4位 北海道 北広島市美沢3丁目4番8 38,000円/? 15.2%
5位 北海道 虻田郡倶知安町南3条東1丁目16番9外 53,500円/? 13.8%
6位 北海道 北広島市北進町3丁目3番4 45,000円/? 12.5%
7位 長野県 北安曇郡白馬村大字北城字堰別レ827番36 10,100円/? 12.5%
8位 福岡県 福岡市博多区博多駅南5丁目52番2 277,000円/? 11.7%
9位 福岡県 福岡市中央区港2丁目10番8 376,000円/? 11.2%
10位 北海道 虻田郡倶知安町北7条西2丁目2番28 28,800円/? 10.9%




公示地価が上昇しているエリアの要因



例えば、北海道の北広島市は前年度より9.06%の上昇となっていますが、これは2023年に北海道日本ハムファイターズのボールパーク開業を見込んでいることが要因です。

その他、長野県の白馬村や別荘地として有名な軽井沢町なども上昇しており、これらはテレワークの普及により地方に住みながら働くことを視野に入れたものだと考えられるでしょう。

このように、新型コロナウイルスの影響が続く中でも、周辺地域の開発や人口の増加により地価が上昇しているエリアはあります。

今後、テレワークが普及する中で、都市部から不動産を買い求めやすい地方へ移住を検討する人が増えてきており、長野県や千葉県など都心へのアクセス良好で自然豊かなテレワークに適した地域、あるいは沖縄県や鹿児島県の離島などリゾート気分を味わいつつリモートで働けるようなワ―ケーションを促進している地域も注目でしょう。

その他、コロナに限らず岐阜?長野、山梨などリニア開通が見込まれる地域も地価が上がる可能性があります。

公示地価が変動するとどんな影響がある?



2020年にかけて公示地価はインバウンド需要や都市開発により全国的に上昇傾向にありましたが、2021年は新型コロナウイルスの影響もあり、トレンドに大きな変動のあった年となりました。


全用途全平均で下落になった一方、今後開発が見込まれる地域やテレワークを推進する地域では上昇が見られています。

このように、公示地価が変動すると実際にどのような影響があるのでしょうか?

所有不動産の資産価値が変動する



地価が変動することで、所有不動産の資産価値が変動することが予想されます。

仮に所有不動産がある地域の地価が下落した場合、資産価値が低下して売却価格が下がってしまう可能性がありますが、一方で、売却価格が下がることにより買い手が増えることも予想されます。


逆に、公示地価が上昇したエリアにおいては、所有不動産の売却価格上昇を見込めます。将来の開発が見込めるような地域であれば、将来的にも需要拡大が期待でき、こちらも買い手が増える可能性があるでしょう。


所有不動産の売却を検討している場合、希望価格で売却できそうな時期なのか、売却以外の方法を考えるべきなのかなど、公示地価の状況を確認することで、判断材料の一つとすることができます。



相続税や固定資産税の評価額の変動に影響



また、相続税や固定資産税が変動する可能性がある点にも注意が必要です。相続税の算定に利用される相続税路線価や、固定資産税の算定に利用される固定資産税評価額は地価を参考にします。


仮に、公示地価が上昇した場合、将来的に相続税や固定資産税も高くなることが予想されます。

相続税や固定資産税などの保有税を含め、どれぐらい税金がかかるのか定期的にチェックして、土地の評価額を下げるための節税対策や、納税原資の準備をしておくなど、将来について早めに家族内で話し合いをしておくことが大切だといえるでしょう。

まとめ

2021年の公示地価についてお伝えしました。特に新型コロナウイルスによる影響が大きい年となり、全用途全国平均でマイナスとなりましたが、開発が見込まれる地域やテレワーク推進が進む地域においては地価の上昇も見られます。

今回の新型コロナウイルスの影響をはじめ、公示地価の変動に関しては、さまざまな要因があります。常に周辺市場の動向やニーズの変化を見据えながら、土地活用や税対策など将来に備えた対策を検討する必要があります。

そのうえで、公示地価は重要な一つの指標となりますので、まずはご所有土地周辺の公示地価の変化をチェックすることをおすすめします。

大東建託では、ご所有地ごとに公示地価をはじめとした周辺市場(人口や世帯数、近隣施設・物件など)をまとめた「エリアマーケティングレポート」を無料で提供していますご興味のある方は、こちらからお問合せください。

監修者プロフィール
中村裕介 不動産ライター(保有資格:宅地建物取引士、保育士)

1983年福岡生まれ。上海復旦大学卒。
商社、保育園、福祉施設での勤務を経て、現在は不動産の記事を中心に手がけるライター兼不動産経営者。

実際に店舗・住宅を提供している立場から、不動産に関する記事を執筆中。趣味はフットサル、旅行、読書。

最新コラムの更新情報以外にも、少しでも皆様のお役に立つ
資産継承や賃貸経営に関するホットな情報をお届けします。

「土地活用」関連用語集